個人破産 〜アメリカ経済がおかしい〜 その2

その1の続き

麻痺する消費活動

ミニマムペイメントにより借金を先送りにすることにより、負債が増える。


先のファーマさん、
生活水準を維持するためにミニマムペイメントを利用してきたが、当初予定の5年が経とうとしているが、破綻しかけている。
ついに、ミニマムペイメントが20万円を超えた。
1枚のカードが利用限度をこえると、別のカード会社と契約。
借金を繰り越すための額(ミニマムペイメント)のみ気にし、借金の総額や、先送り額にかかる高額な利子についても気にしなくなった。この5年ですっかり麻痺してきた。計画的に考えることをやめてしまうようになってきた。
借金の総額は当初の2倍、1,000万を越えた。自宅を担保にしてクレジットカードでお金をかりて借金をかえした。これがさらに状況を悪くした。
カードを使わないで借金を返すとどうなるか?計算してみたら死ぬまで働かなくならないこととなった。最終的に自己破産。

増え続ける個人破産とカード会社・銀行の対応

2002年 1年で154万件の個人破産、この10年で70%も増えて過去最高。
急増する自己破産。


カード会社や銀行は・・・。
競い合って勧誘を行っている。勧誘の方法はほとんどDM(ダイレクトメール)。2002年発送されたDM数は50億通
景気低迷で企業への貸し出しが不調。そこで、個人向けの融資に活路を見出そうとしている。ミニマムペイメントで返済を先送してくれるほど多額の金利を得られるため、金融は返済が滞っている人にまで競って勧誘の対象を広げている。


破産者が増えてくると、金融機関の損失も増える。しかし、金融はこれをそれ以上の新規顧客開拓することでチャラに。(新たな加入者はすぐに破産しない。加入者を増やせば損失を低く抑えられる)


カード会社は金利収入を増やすためにどんどんカードを発行する。しかし、加入者が返済できなくなりそうになると、態度を一変させる。新たなカードが作れなくなったときカードに依存した生活ができなくなる。後には莫大な借金だけが残る。

金融ブローカー

借金の返済に苦しむ人にさらにお金を貸し出し、金融機関から手数料を稼ぐビジネスが俄かに活気づいている。


金融ブローカ ロイ・クック氏
銀行に変わって顧客を探し、融資の契約をとりつける。
金利のより低い融資を紹介するかわりに借金総額を増やすことを持ちかけるやりかた。
借り手はだれでもかまわない。手当たりしだい電話をかける。


ねらい目はお金に困る人。(借金の金利を少しでも低くして月々の負担を少しでも減らしたい人)。
この日訪れたのは、最近失業した人。金利を低くするのでもう少し借金を増やさないかと誘う。
今と同じ負担で新たに多額の現金を手に入れることができるという殺し文句で訪問して30分で契約を成立させる。
この家の借金は100万円増えて500万となった。もし返すことができなければ家を売る必要がある。


住宅ローンで業績を上げている銀行のごみから高い金利を支払っている人を見つけ出し、自分の顧客としてしまおうとする。
こうしたやりかたで100件、総額7億円契約を成立させた。

ロイ・クック氏
欲しいものは今すぐ欲しい。
待ってなんかいられない。
だから平気で自分の稼ぎ以上使ってしまう。
みんながそうだ。


続きはまた今度。