アメリカ発世界自動車危機 〜その1〜

2ヶ月くらい前に放映されていた番組。経営破たん寸前のGMについて取り上げられていた。

NHKスペシャル


20世紀の世界経済を牽引してきたアメリカの自動車産業が、メルトダウンともいうべき崩壊の危機に直面している。2008年、金融危機の炎はまたたく間に自動車業界に延焼。旺盛だった自動車の需要は一気にしぼんた。GMを始めとするビッグスリーは経営危機に陥り、トヨタなどアメリカでの販売で利益を上げてきた日本のメーカーも深刻な打撃を受けている。
なぜこんなことになったのか。関係者への取材で浮かび上がってきたのは、長年のビジネスモデルを延命させるために作り出された「架空の消費」である。売り上げをのばすため自動車ローンの審査が極限まで甘くされ、ウォール街が推し進めた証券化ビジネスと手を結んだ車販売のシステムが広がった。それが今回の金融危機で一気に瓦解したのである。
時代は次のビジネスモデルへ向かって急展開を始めている。大物投資家なども参入し、業界再編後を見据えた電気自動車など環境対応車の時代への模索が加速している。自動車業界の歴史的な大転換を、現場の動きから明らかにしていく。

内容としては、大きく2つ。
1つは、なぜ、急激に業績が悪くなったのか。そのからくりについて。(GMの延命措置のために作り出された架空の消費によるバブルが、昨年の金融危機で一気にはじけたこと。)もうひとつは、自動車業界にパラダイムシフトが起こりつつあるという話。

GMの架空の消費


売り上げが前年度から大きく落ち込んだ1997年ごろ、業績を伸ばすためにGMは高価な車を大量に売り続ける仕組みを編み出す。それが、自動車ローンを使った販売。
その仕組みは、まさに自動車版サブプライムローン


GMはディーラを通じて車を売り、その代金をGMAC(General Motors Acceptance Corporation:GMの金融部門を受け持つ子会社)が客にローンを組ませて提供していた。このローン、債務者の所得を無視して自動車を担保にして貸し出していた*1


このリスクがある債権を、GMAC証券化し投資家向けの金融商品として売っていた。
この金融商品金融工学者なる人たちが、米各地から自動車ローンを集めリスクの高いものや低いものを組み合わせて証券化したもの。出来上がった金融商品の評価はAAA、最も安全な格付けに仕上げた。これらが、名だたる金融機関を通じて世界に売られた。


増え続ける自動車ローンの貸し出しと金融商品の売り上げ、GMACの金融の力でGMの業績は97年以降上向いた。
ところが、2001年同時多発テロや原油高騰の影響を受け再び売り上げが落ちた。そこでGMはまた金融の力を借りて業績を伸ばす。


続きはまた今度・・・

*1:ローン返済ができなくなると、レポマンと呼ばれる取立て屋が車を強制的に押収するそうである。なんと2008年は約190万台(年間販売台数にして7台に1台に相当)が押収されたとのこと