ライスショック 日本の食糧自給率 ~その3~

続き

世界の米ビジネス(中国)

中国もまた日本に大量に米を輸出している。

生産力と技術力の向上で着実に競争力を付けてきている。

ある米栽培農家では、日本の技術・設備を取り入れ、コシヒカリを改良した品種を栽培。中国の風土にあうよう、他の品種を掛け合わせて中国版コシヒカリを作っている。

各国の米を扱っている上海高級スーパでは、中国産あきたこまちコシヒカリが売られている。

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値段も安い。3Kgで約730円。日本の1/6の安値。

日本の農協が輸出したコシヒカリも売られているが、こちらは1Kg少ない2Kgで3,200円。

もし日本の市場が開放されれば、日本向けの協力な貿易商品となる。

世界のコシヒカリ産地が日本の市場を目指す中で日本の農業は・・

日本で最も高い価格で取引されるコシヒカリの産地新潟では、かつてない事態に見舞われていた。

農協は、今年(2007年)収穫したコシヒカリと引き換えに渡す代金について、一俵(60Kg)あたり、2006年15,000円→2007年10,000円に下げると突然発表。

米が大量に余ることが懸念され、価格を下げないと売れないというのが理由。

厳しい経営に追い討ちをかけるような価格の引き下げ、米作りをやめるかどうか瀬戸際に立たされる農家も相次いでいる。

日本の米はどこに

売れ残っている状況にビジネスチャンスを見出す。

コシヒカリをアジアの富裕層に高く売り込もうとする。

コシヒカリの中でも独自のブランドを持ち、農協を通さずに販売している農家に着目。

安全性とおいしさを前面に出している点が富裕層にアピールできると判断。

この農家は、海外に販路を見出さなければ生き残れないと判断し、台湾に輸出すると決めた。

「本来なら日本で作ったものは日本人に食べてほしい。」

輸出先の台湾。

台湾はWTOに加盟した後輸入の自由化が進んでいる。

多くの食品が世界各国から集まり販売競争が激しい。

いままで台湾産のコシヒカリをつかっていたが、日本の味を売り物にするため、あえて6倍近い日本産コシヒカリに変えた。(この農家が輸出する米に買えた)

この店では昼食でも3万円/1人かかる。

限られた一部の富裕層に日本の米は受け入れられていた。


輸入自由化の先に・・

一方で輸入の自由化は世界各地の米を巻き込んだ安値競争を引き起こしていた。台湾では世界のコシヒカリが売られていた。アメリカ産、タイ産、中国産、台湾産

日本でも同様に米の自由化が進むと米農家は窮地に立たされる。

一体その先に何が起きるのか?台湾の実情を探ってみる。


台湾西部の米産地

村の人はまばら。米作りをやめた年金で暮らしている高齢者が多い。安い外来米の影響で生計を立てることができなくなった。

借金の返済のために田んぼを売った人も。

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米の生産管理

では、農業を続けている人はどうしているのか?

200人の農家がコメ生産会社と契約し、その管理の下でコメつくりをしている。

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農家契約台帳。

農家の一人ひとりに番号が付けられ、栽培する品種から栽培の方法まで全て会社から指示を受けている。

農家から出荷するコメも厳しいチェックを受ける。品質が少しでも会社の基準を満たしていないと買い取ってもらえない。場合によっては契約を打ち切られることも。

契約農家の人は、、

「WTOに加盟してもよいことなどひとつも見つからない。悪いことばかり。」

生き残りのために会社に管理される農家、価格競争に敗れコメ作りをあきらめる農家、主食を支える農家に大きく影響を与えていた。