政府系ファンド
この半年の間よく政府系ファンドという言葉を耳にする。
少しまとめてみた。
政府系ファンドとは、政府がお金を出して運営する投資機関のことで、国富ファンド(Sovereign Wealth Fund(SWF))とも呼ばれる。
2007年、アメリカサブプライムローン問題で欧米の金融機関が多額の損失を計上。ここに政府系ファンドが相次いで数10億から100億ドル近い出資をして一躍注目を集めた。
とくに、アブダビ投資庁による米大手銀行シティグループに対する出資は、75億ドルにまで及んだ。
設立の歴史
設立の歴史は古く、中でも中東系が老舗。サウジアラビア通貨庁は50年以上前からオイルマネーを運用している。中国や韓国については最近になって設立された。国の富を増やすという明確な意図をもって設立されている。
成り立ち(原資)はおおきく2つある。
原油高騰・貿易黒字などの余剰金を投資にまわしている。
ファンドを持っている国
ロシア・中東産油国やシンガポール・中国・韓国など、世界に数十しかない。
出所:2008/3/6 朝日新聞 ニュースがわからん
資金の規模
はっきりとしたことはわからないが、アメリカ財務省の推計によると2.9兆ドル。
これは、アメリカの国家予算に匹敵。日本の国家予算の3.8倍
出所:2007/10 経済羅針盤
出資先
ファンド名 | 出資先 | 備考 |
---|---|---|
アラブ首長国連邦ドバイのファンド | バーニーズ・ニューヨーク(米高級衣料品店) | ユニクロと買収合戦 |
アラブ首長国連邦アブダビのファンド | コスモ石油の筆頭株主 | |
中国のファンド「中国投資」 | ブラックストーン(米投資会社) | 07年9月に設立されたばかり |
その中でも資金力トップは、先のシティに出資したアブダビ投資庁。資金量、140兆円以上といわれている。
政府系ファンドの不安要素
出資の目的が、長期投資ということだが、秘密のベールに包まれていることもあり不安要素がある。
- 基幹産業や代表的企業の買収もあるのではないか
- 投資目的が、運用益だけか?例えば外交のカードに使ってくるとか
そういう懸念をもたれないように注意を払っているファンドもある。
市場への影響
- ドル安を加速させるのではないか?
- 原油高になるのではないか?
政府系ファンドはドルで資産をもっているため、最近のドル安を嫌って分散投資をしている。
これがかえってドル安を加速させる可能性ある。
また、原油市場において、原油でもうかったお金で原油に投資を行っている。これが自己増殖的に原油高となる可能性がある。