個人破産 〜アメリカ経済がおかしい〜 その3

その2の続き

住宅ブームの綻び

アメリカ国家の借金は増加の一途。それにともない個人破産も増えている。
アメリカ経済、個人の消費の失速は命取り。
80兆円に上る経済対策(減税策)に乗り出し、消費を盛り立てようとしているが、一番の心配は、ITや株に変わって経済を支えてきている住宅ブームがいつまで続くのか。


しかし、変調の兆しが・・。

パームスプリングス

近所に安い住宅が大量にできて、自宅が値上がりするという期待がしぼんでしまった。


建設会社に勤めるマイク氏。
3年前2,300万円で自宅を購入。当時、近所では1,000万円値上がりしたという話もあり、将来の値上がりを期待して購入。
自宅が高くなればリファイナンスする。お金には不自由しないと考えていた。
高級車3台。毎日外食、収入以上の生活を楽しんできた。
しかし、自宅の価格は一向にあがらない。
そうしているうちに、この1年近郊に新しい住宅がでてきた。プール付の新築住宅がマイク氏と同じ金額で売られるようになったため。


住宅の値上がりを待つ。
住宅ローンなど月々の支払額が60万円。借金を返すために働く。アルバイトまでして働く。この日は、一日17時間も働く。

シカゴ

景気の低迷も住宅ブームに暗い影を落とす。
物流と製造業の町、シカゴでは失業率が2年前(2001年)の倍となった。


失業により突然収入が途絶え、月々の返済に行き詰まる人も増えてきた。


オサリバン一家
IT産業の後退により妻が2年前に仕事を失う。
この家では夜かかっている電話にはだれもでない。
借金の返済の催促と分かっているから。
ローンの返済が迫っており住宅没収の危機にある。
住宅の値上がりに応じて4回リファイナンスを行い借金を増やしてきた。
借金は2倍に増えて2,600万。月々の返済も23万になった。


2人の収入であれば、借金は返済できるはずだった・・。


昨年(2002年)1年間で没収された住宅は、約50万軒

その先に

アメリカ経済をもっともよくわかっているといわれる、FRBグリーンスパン議長(当時)。
根拠なき熱狂と言い切って、株バブル終焉を方向付けたのもこの人。

一方、住宅についてはまったく心配なしといい続けてきたが、突然変わった。

リファイナンスを含めた住宅ローンは、昨年(2002年)の第4四半期にピークに達していたようだ。
この勢いが今後も続くとは考えにくいでしょう。
つまり住宅市場には、かつての力強さはもう期待できないということです。

アメリカの転換点を示したグリーンスパン発言。


IT、株バブルの崩壊で、最後のたのみであった住宅ブームの終焉。
唯一の消費の財源がなくなる。
アメリカ経済を引っ張ってきた消費。
世界経済にも影響がでてくる。



個人破産154万件。
個人に無理な借金させてまで消費を促しこの半世紀繁栄を作り上げてきたアメリカ。
しかし、そのシステムを支えてきた個人の側から悲鳴が上がり始めている。