タタ

2008/8/24
http://www.asahi.com/business/update/0824/TKY200808240116.html

インドのタタ・モーターズが進めている世界最安の乗用車「ナノ」の生産計画に黄信号がともった。建設中の工場周辺で、土地の収用に反発する農民らの大規模な反対運動が起きているためだ。ラタン・タタ代表は22日、工場の撤退も辞さない意向を表明した。
タタ・モーターズは10月の販売開始に向けて、西ベンガル州東部のシングール地区に新工場を建設中で、すでに150億ルピー(約375億円)を投資した。
(中略)
工場用地は約1千エーカー(約4平方キロメートル)で、州政府が農民から収用し、タタと賃貸契約をむすんだ。州政府は農民に補償金を支払う方針だが、約400エーカーを所有していた約2200人の農民は収用に反対し、補償金の受け取りを拒否している。


朝日新聞紙面〜
西ベンガル州では、インドネシア企業が進めていた化学工場でも混乱があった。農民の反対運動が起き、多数の死傷者を出した末、昨年、計画が頓挫した。

日経ビジネス 2008年8月18日号

コルカタ近郊のナノ専用工場の建設も遅れている。政府が農地を接収して工場用地としてタタに譲渡したやり方に住民の抗議運動がおき、着工が遅れた。
コルカタ西ベンガル州の州都(旧カルカッタ)


印タタ自動車「ナノ」生産工場で大規模な抗議活動 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

自動車「ナノ(Nano)」を生産予定の自動車工場が、約4万人の抗議活動参加者によって包囲された。デモ参加者側は、同工場の敷地が地元農家から強制的に接収されたものだと主張しているという。


原材料高で収益の方も苦しそうだ。
日経ビジネス 2008年8月18日号〜

価格を抑えるためにナノは最近の車に標準搭載されている利益率の高い装置を省いている。そのため高騰する鉄鋼やゴムなどの原材料が生産コストに占める割合が大きい。米コンサルティング会社グローバル・インサイトのティム・アームストロング氏は「現在の厳しい経済状況では(ナノ)の採算性に疑問を感じる」と指摘する。
同氏の試算では、現在のナノの原材料コストは価格(税別)の23%を占める。開発に着手した5年前には13%で、平均的な米国車では約7%に過ぎない。

世の耳目をひいたタタも、これだけの外部環境の変化にはなす術ははいのか?

株主総会でラタン・タタ会長はこう述べた。「コスト高をすべての消費者に転嫁すれば需要に響くだろう。しなければ利益率に影響が出ることになる。」