邂逅

突然両親が、「そこの駐車場憶えているか?」とたずねる。
全く記憶になかった。
「一緒に祖父と写真とったんだよ?」
もう30年以上前のことだが、自分の祖父が余命わずかのときに、病院には外泊と偽って実家まで(祖父の家から実家まで電車乗りついで半日かかる距離)来てくれたことがある。そのときにこのきれいな海まで案内し、駐車場で一緒に写真を撮ったと。


思わず、小さかった当時に思いを馳せてみる。


夏休み最終日。
自分はこの土地で、小さいときを両親と過ごし、育てられてきたんだ。そしてあの当時の自分がいまの子供と同じ年齢。そんなときに余命わずかの父親とドライブをしていた。
どんな気持ちで過ごしていたのだろうか?
なんかいつもの帰省と違う、昔の匂いを思い出す、思い出深い、感慨深いそんな夏休みだった。


両親に感謝しつつ、帰宅の途につくことにした。