壁を壊す

壁を壊す

壁を壊す

日経ビジネス:2008年5月19日号紹介

本社を破壊した話が一番面白い。(略)肥大化が問題なら物理的に小さくしてしまえと、いきなり本社の部門間にあった壁を取り払いスペースを6割も減らした。(略)壁がなくなれば、村社会はできにくくなる。そして壁の破壊は、改革への不退転の決意の表れを意味する。
(略)
 吉川氏は「企業を改革するのに評論家はいらない、反対があってもやりる勇気が必要だ」ということを身をもって実践した経営者だと思う。


Amazonの書評欄から抜粋
Amazon.co.jp: 壁を壊す: 吉川 廣和: 本

レビュー
週刊東洋経済」、2008/02/23
信用、資産、人材が豊富な1部上場企業は、優れた経営者が登場すると、旧弊が一掃され、見違えるほど業績が向上することが多い。DOWAホールディングス(旧同和鉱業)もその一つ。旧同和鉱業非鉄金属の採掘や精錬では日本を代表する会社の一つだが、第1次石油危機後は長い間業績は低迷していた。
54歳で名門企業の社長に就任した著者は、旧同和鉱業が陥っていた大企業病をこれでもかと描写する。
著者は改革を阻む三つの壁に果敢に挑戦する。組織の壁、上下の壁、社風・風土の壁、である。
旧来の社風・風土を破壊することに成功した著者は新しい会社づくりに挑戦する。本社スペースを60%に減らし、役員室・秘書室を解体し、風通しのよい会社をつくる。事業部門ごとに徹底した競争原理を導入する。「書類づくりは仕事ではない」「効率化とは、価値の生まない仕事を、どのくらい捨てられるかである」など学ぶことは多い。

レビュー
「日経情報ストラテジー」、2008年03月号
改革を阻む4つの壁を壊す

著者は、1884年創業の同和鉱業(現・DOWAホールディングス)が抱えた「組織の壁」「上下の壁」「社風・風土の壁」「心の壁」を問題視。1999年に専務に就任して以降、会長を務める現在に至るまで経営改革を断行し、経常利益を10倍の500億円に押し上げた。
本書には現実味の乏しい“スマートな”経営理論は登場しない。だが、人員削減などで苦労しながら自力で再建を果たした筆者の言葉は示唆に富む。例えば、本社の物理的な壁を破壊してフリーアドレス型オフィスに変えた。工場などに対する本社の官僚体質を払拭する狙いがあった。「工夫よりも形から入ったほうがスピードのある改革ができる」という言葉にも重みがある。(杉山)