農業の新しいビジネススタイル(ぶった農産)

NHK経済羅針盤(2008年9月7日放送)より

株式会社 ぶった農産


日本で始めて登場した農業の株式会社。

社員10名。全国に販路拡大し、顧客2万人

売り上げ1億1000万円

米や野菜を加工品として仕上げ直接販売する商売を始めた。

社長の以下の言葉に印象が残った。

農家かも単なる生産者から知識労働者(ナレッジワーカ)となることが必要。

農業も工業・商業と同水準の経営手法や経営技術を取り入れていくべき。


付加価値の高い商売

以前は農業を営んでいたが、あるとき取引先の加工カブ(かぶら寿司?)が売れるのをみて、自分でも試してみたところ、飛ぶように売れた。カブを加工して売ることで、通常のカブの10倍の価格で売れた。付加価値の高い商売方法に気がついた。

また、減農薬有機肥料の米を販売。米に付加価値をつけることで、通常の米より高い価格で売れる。

  • 農家が自ら加工品を仕上げ、自ら販売する。
  • 農業にもどういう価値を提供していくか求められていく。
  • 自分で価格をつける、価格形成力をつける、これにより計画的な経営ができる。

人材確保

優秀な人材を確保するために東京でリクルート活動も行う。


資金調達

ミュージシャンに投資するファンドに対して、農業に対しても投資の依頼を行う。「米も音楽同様生活に欠かせないもの」

農家もアーティストである。


インフラの活用

インタネットの登場にて、ホームページを立上げ、ネット販売を始める。


ソーシャルワーカ

農家は販路を自ら作ることをせず、農協に収めているだけ。地元のニーズ(旅館などは地元で採れた野菜を使った料理をだしたい)にも気がついていない。そこで、ぶった農産が企業と農家が話をできる場を設ける。


なぜ、同業者(いわゆる競合)に企業の橋渡しをするのか?

農業経営は1つだけで成り立たない。地域全体・社会全体で成り立っている。全体がよくならなければ自分もよくらならい

なるほど。


先見性

TVを見ると社長の佛田利弘氏がこのような経営を始めたような印象を受けたが、会社の沿革によると、実は現会長である佛田孝治氏が随分前から取り組んでいるようだ。例えば、

昭和62年:ダイレクトメールの発送開始。パソコンの導入。

平成5年リクルートの「B-ing」で求人活動。通信販売システムにLANの導入。

と、先進的なインフラ導入や人材獲得など早くから取り組んでいる。とても農業を専業としている人のように思えない。



いろいろな発想力が豊かですが、アイディアの原動力は?という問いに対して、「好奇心」という回答をされていた。好奇心をもって物事を観察していると普段は気付かないことでも見えてくる、「カラーバス効果」に近いものだろう。

カラーバス効果については、以下の文献参照

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

農業の人口も年々減ってきている。ぶった農産を1つのロールモデルとして、儲かる農家が増えてほしいものである。

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そして、食料自給率Up!(農業人口だけが問題ではないが)